息を吸う際に、肺に取り込まれた酸素は、最終的に肺胞から血管へと移行することで、体に酸素が取り込まれます。この肺胞と血管の間を間質と呼ばれます。
「間質性肺炎」とは、間質という場所に炎症が生じることで、酸素が血管内に取り込まれにくくなる疾患です。
運動時には、安静にしている時と比較して、体が必要とする酸素の量は多くなります。
間質に炎症が生じると、肺胞から血管内への拡散に時間がかかるため、体が必要とする酸素を十分に供給することができなくなり、「労作時呼吸困難」が出現します。
さらに炎症が持続すると、間質が硬くなり、肺が広がりにくくなります。
間質に炎症を起こす原因は多岐にわたります。
①ウイルスやマイコプラズマなどによる感染、②関節リウマチや強皮症などの膠原病、③抗癌剤や抗リウマチ薬をはじめとする薬剤、④羽毛やアスベストなどの吸入、等が代表的です。
このため、間質性肺炎を疑った場合には、このような原因の有無を問診・診察や血液検査によって確認します。
種々の検査を行っても、原因が特定されない場合、「特発性間質性肺炎」と診断されます。
一般の方向けに分かりやすく説明すると、特発性間質性肺炎には「よい間質性肺炎」と「悪い間質性肺炎」が存在します(病状説明に使用している内容ですので、用語の適切性に対する疑問は、一般向けの解説という事でご理解下さい)。
「よい間質性肺炎」とは、①進行程度が緩徐もしくはほぼ進行しない、②期待できる治療法がある、といったもの。
一方、「悪い間質性肺炎」とは、①進行程度が急速もしくは緩徐ではあっても確実に進行する、②根本的な治療が存在しない、③診断後の予後が不良である、といったものです。
「良い間質性肺炎」の代表は、「非特異的間質性肺炎」、「悪い間質性肺炎」の代表には、「肺線維症」、「急性間質性肺炎」といった疾患があります。
間質性肺炎が「良い」か「悪い」かを判断する際には、①症状や病気が出現してからの期間、②胸部CT検査の所見、が重要になります。
症状が出現しはじめて週の単位で増悪する場合には、「急性間質性肺炎」の可能性が考慮され、治療抵抗性で呼吸不全が急速に進行することがあります。
一方、緩徐進行性の場合には、「肺線維症」か否かを判断することが重要になります。
胸部CT検査で「肺線維症」に特徴的な所見を呈する場合には、画像のみで診断されることもあります。
しかし、「良い」か「悪い」かは治療方針や予後を見立てる上でも重要になるため、必要な場合には、手術などにより生検を行い、採取した肺組織を顕微鏡で確認することで、診断されます。
「肺線維症」は特殊な疾患で、肺の間質に組織を硬くする細胞が増殖することにより、緩徐に肺が硬くなっていく疾患です。
ピレスパ○Rやニンテダニブ○R、等の治療薬は肺そのものを改善させるものではなく、進行を抑制するものであり、根本的な治療は肺移植のみになります。
よって、「がん診療の考え方」で示す「治らない病気」の経過 をたどることが多く、元気度が低下した後には、「医療」ではなく「どのような日々を過ごしていくか」という事が重要になります。
間質性肺炎が「良い」タイプでも「悪い」タイプでも注意しておくべきことは、「急性増悪」という病態があることです(「悪い」タイプの方が生じやすい)。
風邪など健康な方では呼吸に支障を来さない疾患に罹患した場合、昨日までは普通であっても、肺が驚いてしまい、突然に呼吸ができなくなってしまう病態です。
残念ながら「急性増悪」の治療法は確立されておらず、予後は不良です。
入院し、大量の免疫抑制剤による治療によって、一命をとりとめたとしても、その後、感染症に罹患し、再度増悪するケースが多く存在します。
院長の安藤は、病院勤務医時代より間質性肺炎に対する臨床・研究に従事し、知識や経験が豊富です。
当院は、外来だけでなく、平日日中は訪問診療を行っておりますので、呼吸困難のため通院するのが困難といった症状でお困りであれば、お気軽にご相談頂ければと思います。
介護保険、等の申請状況にもよりますが、訪問看護との連携により、自宅にて理学療法(呼吸リハビリ)を実施することも可能です。
医院名 |
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医療法人社団よるり会 目黒ケイホームクリニック |
理事長 |
安藤 克利 |
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