「気管支喘息」とは、空気の通り道である気道が炎症を起こして狭くなり、空気が通りにくくなる疾患です。
気道が狭くなることで、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)や激しい咳、息苦しさを感じるようになります(急性増悪(発作とも呼ばれています))。
細くなった気道は、治療や時間経過と共に元の太さに戻ることがほとんどですが、その後の治療が不十分であると、再度細くなり増悪を繰り返すという状態になってしまいます。
代表的な増悪要因であるウイルス(風邪)、タバコ、アレルギーの原因物質などが気道に付着すると、炎症が起こります。
健常の方は、これらの炎症が生じても一時的であり、気道が狭くなることなく炎症が自然消退します。
しかし喘息患者さんでは、炎症が長引くだけでなく、気道が狭くなってしまうのです。
このため普段から、風邪をひいた後、咳がなかなか止まりにくいという症状をお持ちの方が多いです。
治療は、「①気道を元の太さに戻してあげること」と「②元の太さに戻った気道が再び細くならないようにしてあげること」になります。
①と②のどちらも大事で、それぞれ治療方針や使用する薬剤は異なります。
①に対しては、サルタノールやメプチンなどの短時間作用型の気管支拡張薬(メプチンやサルタノール)、ステロイドの内服や点滴を行います。
一方、②に対しては、吸入ステロイドや長時間作用型の気管支拡張薬(アドエアーやシムビコートなど)、抗アレルギー薬をはじめとする内服治療が主体になります。(これらの多くは、即効性を期待する薬剤ではありません)。
増悪時には、①の治療が必要になりますので、②に対する治療のみでは効果は不十分です。
一方、①に対する治療によって症状が改善し、「治った」と思われ、②の治療を行わないと、いずれ増悪が生じます。
成人喘息で問題となるのは、「狭くなる→戻る→狭くなる→戻る→→」を繰り返し続けると、戻りにくくなってきてしまいます。
このため、①に対する治療だけでなく、改善した後②に対する治療を続けていくことが重要です。
高血圧で症状がなくても血圧の薬を飲む理由はなぜでしょうか?
これは、10年後、20年後の脳梗塞や脳出血、心臓病のリスクを減らすためです。
これと同様で、気管支喘息で症状がなくても吸入ステロイド(②に対する治療)を続ける理由は、10年後、20年後、気管が硬くなり、気道が狭くなる頻度が月に何度も起きてしまうような状態になるのを防ぐためです。
①と②に対する治療薬や目的は異なりますが、気管支喘息の治療は、①の治療が必要な状況を少なくすること、になります。
妊娠中の喘息は、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。喘息の発作がひどく激しい咳をしていると、お腹の赤ちゃんに充分な酸素を送ることが出来ず、酸欠状態になってしまいます。
このため妊娠中は、発作の予防(吸入ステロイド)がとても大切であり、妊婦さんには第一選択薬としてパルミコートが使用されます。
この薬剤は、米国食品医薬局(FDA)の妊娠中の薬剤投与に関するカテゴリー分類のBにランクされているため(人での危険性の証拠はない)、安全に使用可能であると考えられています。
妊娠中に喘息治療を継続することを不安に思われる方もおられると思いますが、急性増悪がお腹の赤ちゃんや妊婦さんに及ぼす危険性を考えれば、恩恵ははるかに大きいと言われています。
気管支喘息の治療は、長期的な管理が必要です。
風邪の後に咳が長引く、有症状時にアドエアーなどの吸入ステロイドを使用したが咳が改善しない、喘息でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
医院名 |
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医療法人社団よるり会 目黒ケイホームクリニック |
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